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2009/02/07 (Sat) 17:20
Knight of peace 序章(11)

始めから

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「……ごめん、ピース。オレがいながら、お前にこんな怪我させてしまって……」
 ぽつりと漏らした一言に、ピースは、スレイの肩をギュッと掴んだ。何で謝るのか、その理由が分からない。
「……そういうの、言わない約束だよね?」
「そう……だったか?」
「うん」
 まったく、このスレイという人物は、変な所で堅苦しい。だが、それでも、自分に敬語を使わない相手であるため、ピースにとっては、気楽に付き合える相手だ。
「ねぇ、スレイ」
「何だ? あまり余計な事喋って、体力消費するなよ」
「父上……。この通路、使わなかったんだね」
「……まぁ、そうなるな。自分が使うと、敵にも気付かれる。そうなると、ピースの逃げ道が1つ減ってしまう。それを、恐れたんだろうな」
「……そうかな?」
「ああ。立派な方だよ。お前の父上は」
 でも、もういない。そのことを信じられないほど、ピースもスレイも子どもではない。
「何で、こんな事になったのかな?」
「何でって……」
 答えに詰まるスレイだが、ピース自身も、答えを期待した訳でもない。
「ボク達、帝国に何か悪い事、したかな? してないよね?」
「……ああ」
「スレイ。もし……もしだけどね」
「?」
「誰も争わないですむ世界があれば、いいと思わない?」
「そりゃ、まぁ。でも、お前には、そんな世界を作るだけの力はあるだろ? 王族なんだから、自分の思い通りの世界を作れるだろ」
「そうだよね。でも、王族ってだけじゃ、国は作れないよ」
「その通りだろうな」
「スレイが、リンダさんが、他のたくさんの人がいてくれるなら、そんな世界も作れるよね」
「ああ」
「それ聞いて、安心した」
「?」

 恐る恐る振り返ったスレイを、ピースは突き飛ばした。

「な、何を……!」
 派手な水しぶきを上げて、水路に落ちたスレイは、ピースを見上げた。そして、気付いた。遠くから、大勢の足音が聞こえる。段々近付いてくる。
「……! もう、追いついてきたのか!?」
 流れはかなり速い。体力の消耗は激しいが、まず追いつけないだろう。追っ手に気付いていたピースは、そのことも計算に入れていた。そんなピースの計算を、スレイは理解した。
「ピース! 早く!」
 少しずつ、ピースが遠ざかる。飛び込む気配はない。
「おい!」
「ごめん、スレイ。ボクが着いて行けば、追っ手は絶対来る。スレイを死なせたくない」
「ば、馬鹿! オレなんかよりお前の方が……!」
 あとは、言葉にならなかった。流れが激しさを増し、沈まないようにするのが精一杯なのだ。スレイの脳内では、自分を突き飛ばしたピースの表情と、ピースの言葉だけが、グルグルと、走馬灯の様に回っていた――。

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